薬草百選リスト | |
|
(70) キカラスウリ(ウリ科) 純白のレースの花弁が美しい デンプンは元祖天瓜粉(天花粉) |
北海道から沖縄まで分布。日当たりのよい山野に見られる。 晩秋に黄色く熟した実が目立つことで知られているが、夏に純白で レースの様に細く裂けた花びらを葉より一段と高く捧げた姿は美しい。 根のデンプンは、真正の天瓜粉(天花粉テンカフン)として知られる。 昭和の初期までは、あせもには、キカラスウリの根で作った本物の テンカフンが使われていたが、現在では、バレイショデンプンが使わ れている。 薬用には、肥大した根を秋に掘り、皮を剥いで乾燥して、 解熱、利尿、お乳の出をよくするのに煎じて使う。 種子は咳止め、痛み止めなどに用いる。 漢方処方では、柴胡桂枝乾姜湯ほかに配合される。 キカラスウリはカラスウリに似ているが、違いは次のとおり。( )内はカラスウリ。 果実は丸い(楕円形)。熟果は黄色(赤色)。葉の表面は光沢が あり、毛は少ない(光沢なく、毛が多い) 佐賀の方言:ゴイ。ウシゴイ |
(71) ナンバンギセル(ハマウツボ科) 体は南蛮のキセル |
葉がなく、全体が南蛮人が用いたタバコのキセル(南蛮煙管)に 似ている、植物名もこんなところから出ている形の変わった薬草。 この植物に葉がないのは、ススキなどに寄生して、養分を吸い 取っているから、葉で養分を光り合成する必要がないためである。 即ち、寄生植物と呼ばれるものである。 古名はオモイグサ(想い草)。花は首を垂れ、もの想いに ふけるように見えたから言われている。 風雅な「想い草」も南蛮の文明が渡来して「南蛮ギセル」となった。 名前は「痛取」に由来するといわれ、長野県などでは 若芽の汁をすり傷につけて、止血や痛みをとる。 薬用には、全草を秋に取り、乾燥して強壮、強精に用いる。 |
(72) バクチノキ(バラ科) 博打の木とは変わった名前 見所:唐津城、加部島田島神社境内 |
特に、6〜7月に樹皮が剥げて真っ赤な樹肌を見せて一際人目を 引く薬木。 名前は樹皮が剥げるようすを人がばくちに負けて裸にされる姿に 見立てたものである。 バクチノキは関東以西の暖地から中国、台湾に分布する暖地性植物。 佐賀県では、玄界灘沿岸によく見られる。 薬用は新鮮な葉を水蒸気蒸留したものを咳止めに使うが、近年で は、新しい薬の開発でほとんど使われなくなった。 |
(73) ムクゲ(アオイ科) 韓国の国花 |
中国原産の落葉低木。日本をはじめ世界各地で観賞用として 植栽されている。 花には一重、半八重や八重咲きがあり、花色も白、桃色、 紫色、白色など豊富で美しい多くの園芸品種がある。 花は朝開き、夕方にしぼむ1日花であるが、次々に咲き、 1〜2ヶ月の間楽しむことができる。 薬用は蕾を乾燥したものを、健胃、緊張による疼痛、知覚過敏の 緩和に。幹の皮は夏に乾燥してアルコールで抽出した液を 水虫に使われる。 |
(74) メハジキ(シソ科) 植物名は子供の遊びから 薬用名は「益母草」 |
子供が茎を短く切って瞼(まぶた)にはさみ瞼を閉じる勢いで遠く へ飛ばして遊んだ。このことから植物名「目弾き」が生まれている。 別名及び乾燥した全草を薬用で「益母草(ヤクモソウ)」という。 この名は母の益になる薬草という意味で、産前産後の諸病を 治し、子宝の薬草として用いられてきたことを物語っている。 日本、朝鮮半島、中国に分布。佐賀県では、唐津、 東松浦地方など西部の路傍周辺で見ることが多い。 薬用は全草を用いる場合は花期の8月に採取。種子は10月に採取。 月経不順、めまい、腹痛、産後の止血に使われる。 |