薬草百選一覧
 23.オオバコ
 24.オトギリソウ
 25.オミナエシ
 26.ガマ
 27.カワラナデシコ
 28.キキョウ
 29.ハス
 30.ハマゴウ
 31.ヒオウギ
薬 草 百 選4(夏篇)
(23)
オオバコ(オオバコ科)
種子は湿って粘り、動物に付着して繁殖


日本、東シベリア、サハリン、中国、台湾、マレーシアに分布。
踏まれても踏まれても生える路傍の雑草として知られている。
江戸時代には飢饉の時食料に使われ、人助けをした

オオバコの名大葉子の意味で、葉が大きく広いことによる。
中国名は車前草はこの草が車の通る所に生えることに由来する。

子供の遊びで(1)花穂を2つ折りにして引き合い、切り合いの勝負。
(2)花穂で瞼を上下に突っ張った。前者からゾーコンゾーコンの方言。
後者からメーハリゴンボの方言が生まれている。

種子や全草を咳止め、利尿や炎症を抑えるのに用いる。
漢方では五淋病散、清心連子飲、蘇子降気湯などに配合される。

オオバコの子孫繁栄術:種子は水に濡れると粘りを持ち、人や動物に
付着して種子を拡げる。


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(24)
オトギリソウ(オトギリソウ科)
弟を切った伝説を秘める薬草


サハリン、日本に分布。県内では山地にやや普通に見られる。

名は「弟切り草」で、平安時代、ある鷹匠が鷹の傷を治す薬草を知っていたが、
弟がこのことを恋人に教えて広まった。これを知った兄は怒り、弟を切り殺した。

その後、この薬草を「オトギリソウ」というようになったという言い伝えがある。
葉を透かすと黒い斑点ある。これは切られた弟の返り血と念が入っている。

茎葉根を6〜8月に採取して乾燥。煎じて、止血や月経不順に用いる。

オトギリソウに含まれるヒペリジンは紫外線を強く吸収する。そのため、
オトギリソウを食べた羊、牛、馬が日光にあたると
皮膚炎を起こして脱毛することがある。


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(25)
オモナエシ(オミナエシ科)
秋の七草として知られる


日本、中国、朝鮮半島に分布。山野に生える。花は山野では8月
であるが、栽培では早咲きの傾向がある。

ハギ、ススキ、クズ、カワラナデシコ、フジバカマ、キキョウと秋の七草として知られる


名の由来には諸説がある。
@オトコエシに対して女エシ(オミナエシ)。
A女圧(オミナエシ)の意味で、花の姿が女性を圧倒するほど美しいこと。
B黄色粒状の花を栗飯にたとえてオミナメシ(女飯)と呼んだのがオミナエシになった。

万葉歌人はこの草を
「女郎花」と書いた。

薬用には、根を11月に採取し、炎症治療や排膿、浄血、利尿に用いられる。

薬用では根を乾燥したものを「敗醤根(はいしょうこん)」と呼ぶ。
根が腐った醤油のようだいうことの由来。


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(26)
ガマ(ガマ科)
因幡の白兎の傷に使われたとして知られる
(左:ガマ 右上:コガマ 右下:ヒメガマ)

「古事記」に鮫に皮を剥がれた因幡に白兎の傷を治すのにガマの穂綿を
を使ったあり、薬に関する最古の記述として知られる。

日本、北半球の中緯度以北の池や沼などの水深の浅い所に生える。

綿毛を付けた種子が風で飛んで分布を広げる。

薬用では乾燥花粉を「浦黄(ホオウ)」という。
ガマの名は「浦」をマガマと言い、はじめのマを略して「ガマ」となったという説がある。

【薬用】花粉を使う。止血に服用するほか、切り傷、火傷にそのまま塗布する。
乾燥花粉を「浦黄(ホオウ)」という。

ガマの仲間には、
葉幅がガマ(1〜2cm)より狭い(約半分程度)のコガマとヒメガマが見られる。


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(27)
カワラナデシコ(ナデシコ科)
秋の七草で知られる
愛しい女性のおもかげを重ね大和撫子


日本、朝鮮草原に生え、秋の七草の一つとして知られる。

名前の由来は河原に生え、花が小さく、色愛すべく愛児に擬し撫子名付けられた。

別名のヤマトナデシコは日本の女性美の事ではなく、中国から渡来した
カラナデシコと区別するため、日本のいう意味で、ヤマトナデシコとなった。

【薬用】には、種子を使用。炎症を抑え効果や利尿作用がある



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(28)
キキョウ
(キキョウ科)
秋の七草の一つとして知られる


中国東北部、ウスリーから朝鮮半島、日本の山地の草地に見られるが、
近年、少なくなっている野生植物の一つ。

野生は8月の開花が多いが、栽培は6月から咲いている。

キキョウの名は中国名「桔梗」の音読み。

【薬用】には、秋に採取した根を咳止め、痰が出やすくするのに服用する。

漢方の桔梗湯、十味敗毒湯、日本薬局方の「セネガ・キキョウ水」などに配合る。

古文書に「アリノヒフキ」。「アリノヒオウギ」の名があるのは、蟻の群がる所に
キキュウを入れるとアリの蟻酸で赤色に変色するという説がある。


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(29)
ハス(スイレン科)
四種類の葉が出る
2000年前の種子が発芽したことで有名


日本、東アジアの池沼に生え、池や水田に栽培される。

ハスの名は蜂巣(ハチス)のチが抜けたもので、果実の入った果托が、
アシナガバチの巣に似ていることに由来する。

葉は次の4種類が順次出るのも興味深い。
銭葉→水葉→水面に出る立ち葉→止葉
佐賀の殿様は、止葉を見て蓮根を収穫して、将軍にいち早く献上した。

【薬用】は果実を秋に採取し、強壮薬、吐き気鎮め、のどの渇き止めに用いる。


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(30)
ハマゴウ
(クマツヅラ科)
浜辺で美しい夏の薬用花
見所:唐津湾内の砂浜


本州から熱帯に至る地域の海浜、砂地に群落を作って生育する。

海岸の砂浜を長く這って群生することから、
古くは、波末波比(はまはひ)と呼ばれていたものが、
浜這→ハマホウ→ハマボウが転じて→ハマゴウになったという。

唐津地方では、枝をくすぼらせて蚊取りにに使うところから「カスボシ」と呼ぶ。

【薬用】果実を晩秋に採取して、解熱、痛み止め、炎症鵜抑えに用いる。



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(31)
ヒオウギ(アヤメ科)
鑑賞用にも薬用にも


日本、朝鮮半島、中国、インド北部の主に日当たりのよい草地に自生する。
栽培が容易なところから鑑賞花から庭なとで園で栽培される。

名前の由来は、葉が扇のように並ぶことにから檜扇。

   【薬用】は根茎を秋に採取して、炎症抑え、痛み止め、咳止めなどに用いる。
漢方では、射干麻黄湯等に配合される。


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