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くすり百話 (第13回)  H 12.8.10
第22話 美人水、ヘチマ水
第22話   
美人水、ヘチマ水
美人水 天羅水(てんらすい) 糸瓜水(しかすい)
 ヘチマ水     佐賀では「ユテゴイの水」

 「美人水」と称される天然化粧水  古くは澡豆(さくづ)という白小豆
 の粉で肌を洗った。江戸に は「へちまの水」と称するものが化粧水
 として人気となった。


   ヘチマ水はかっては美人水ともいわれ、江戸城の大奥女中の化粧水
   として献上されたといわれる。江戸小石川御薬園では一夏 に一石一斗
   三升の糸瓜水(しかすい)おさめたと記録されている。
   ◆ヘチマは熱帯アジアの原産で、中国には明時代渡来し、蔬菜や
   果実の繊維利用などの目的で、たちまち全土に栽培が広がっ た。

   日本への渡来は、多識編(1631年)に初めてみられること から、
   江戸初期であろうと推測されている。
 

   ■へチマ水の採り方:                 
   採取時期:秋に取るのが一般的           
      十五夜は女の顔をしこむ晩    (万舎合)
      名月に手伝わせたるけしょう水  (万舎合)
   の如く、旧暦八月十五夜の満月がよいとされている。

   採取法:
   @地面から30〜50cmのところでつるを切る。
   A1〜2リットルの瓶を用意する。        
   Bつるの切り口を瓶に差し込み、瓶の口から
     ごみが入らぬように綿などを軽く詰める。 

   ※ここで注意は、水は高いところから低いところへ流れる
    ことを念頭に置いている人は、切った長いつるの
    切り口を瓶へ入れ る人があるが、これは間違い。
  ◆地面から立ち上がった根の方の
   つるを瓶に入れる


   ヘチマ水は根の方から押し上げられ
   てくる植物体液をとるものです。普通、
   一株から数日で2リットルのヘチマ水
   がとれる。

  Cヘチマ水は腐敗しやすいため、煮沸
   して冷やした後、 綿などでろかする。                
   ■ヘチマ水の作り方                     
   Dそのままでも化粧水として使用できる
   が、保存するには、防腐剤などを加える。              
   ヘチマ水1リットルを作る場合の例:
    エタノール      100ml
    グリセリン   50ml (湿潤剤)
   パラオキシ安息香酸エチル 1g (防腐剤)
   ヘチマ水          850ml
   エッセンス香料      少量

   エタノールは90%以上の濃度のものを使う。手に
   入らなければ消毒用アルコールでもよい。     
   防腐剤のパラオキシ安息香酸エチ ルはエタノール
   に溶かして混ぜる。
 
  効用:ヘチマ水にはペクチン、酵素、ビタミン、サポニンな どが
   含まれていることから、肌に栄養を与え、なめらかにする 化粧水と
   して用いられている。

   ■
ヘチマの名の由来:トウリから出たもので、「ト」はいろは の
   へとチの間にあるところから、へトの間という意味で、
   ヘチマと名付けられたという説がある。

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