Rp.21 薬が効かなくなった、もう1枚 81歳男性
プレドニゾロン  (5mg) >0.5T  
ラニラビッド   (1mg) 1T   ミニトロテープ1枚/day
ルナール        (0.2mg) 1C  1×朝食後
ロカルトロール (1μg) 1C
ノンドルミン    (1mg) 1T
ガスターD      (20mg) 1T 1×就寝前

 3年ぐらい前から、心肥大とのことで利尿剤・降圧剤を服用していた。その後、血圧が下がりすぎふらつきが出たが息切れ等の症状も改善され上記の処方で落ち着いていた。落ち着くまでの間、体中の掻痒感で眠れなかったり、白内障のOpeをしたり葉酸の不足により入院をしていた。前立腺肥大は相変わらずであちこちの病院の間で「おくすりノート」は頻繁に動き回っていた。80歳を過ぎて運転が心配になり、こちらの病院で全て処方されることとなった。

 「この薬が効かなくなった。院長さんは1日中良く効く薬と言って出しでくんさったが、半日しかもてん」と言って、ミニトロテープのみの追加処方でもらいにみえる。添付文書を見ながら、I薬剤師が尋ねにくる。1日1枚とあり、増量は2枚までと書いてあるが毎日2枚使用して良いだろうかと。高齢でもあり毎日使用しても良いか疑義照会とする。「1日2回というか効かない時に貼るように。頓服的な使い方で」と看護師からの返事。I薬剤師はドキドキ。効かない時といえば毎日貼るにきまっている。説明をしても本人は1日2回貼るつもりで相談にきている。このまま投薬してよいものか。しばらく迷っていた時、N薬剤師が「効かなくなったというのは、薬物耐性もあるね」医薬品情報集のニトログリセリン貼付剤を開く。薬剤耐性が副作用の項に載っていた。

ニトログリセリンが生体内で代謝を受けNOを産生するが、この硝酸エステルからNOに還元される過程で、血管平滑筋細胞内SH基が必要である。このSH基の減少、ないし枯渇が耐性のひとつの原因と考えられる。
耐性の予防方法については、国外で間欠投与方法(1日のうちある一定時間、製剤を剥離して休薬時間を設ける方法)の有効性が報告されており、国内でも2時間の休薬時間をおいた間欠投与方法で耐性発現を予防できたとの報告がある。間欠投与法の有効性、安全性は確認されておらず、不用意な休薬(中止)により、狭心症の不安定化、心筋梗塞への移行などが考えられるため、十分な注意が必要である。
その他の耐性予防としては、SH基を有するACE阻害剤やシステイン等との併用の報告あるが、耐性現象については発現の機序ならびに予防方法を含め現時点では一定の見解は得られてない。とあった。調剤する側としてどう対処したらよいのだろうか?亜硝酸剤だけを増量するのは、お勧めできない。血管拡張は副作用も多い。身体中血管がはりめぐらされているのだから、あちこちの血管が拡がってどうなるのだろうか。
血管がドクドクした様子がマンガチックに想像された。ミニトロテープのみの処方を持って見えた時、どう対処したらようのだろうか。添付文書を繰り返して読み、2枚まで増量可ということで、頓服的な貼り方を説明しておく。次回診察まで1週間はなかったことで、くれぐれも使いすぎないようにと念を押す。どうして効かなくなったかではなく、他の方法で狭心症を治療していかれることと思い、1日1枚以上は貼らない方が良いことを病院へ報告する。

  次回みえた時、Dr.から1日1回しか貼らないように説明があったとのこと。ずっと貼りっ放しにしておくと薬の効果が出にくくなることがあるので、夜間や朝方に発作が出易いのであれば、昼から夕方にかけて剥がしておくことを指
導する。これらの対処を全て若い二人の薬剤師が行なった。添付文書はもちろん、医薬品集も探して資料を見つけた。そして、院長先生への報告だいぶ自信がついてきたことと思う。          
参考文献:「医薬品服薬指導情報集」じほう
 (かみみね薬局 宮地和子)